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指導者にも最適! 将棋1手詰め入門ドリル280問 レビュー

Sunday, 28, 2007 at 10:56 |
書店で平積みされていた『将棋1手詰入門ドリル―「勝つ形」を繰り返し覚えて勝率UP!』を手にとって、すぐに購入した。

以下、同書のレビュー。


『将棋1手詰入門ドリル』購入動機


そもそも『将棋1手詰入門ドリル』を購入しようと思ったのは甥のためだ。

今、小学校1年生の甥に公文(くもん)の「NEWスタディ将棋」を買い与えて、将棋を勉強させている。

駒の動かし方は駒に矢印が描かれているので直観的に理解できる。





次に理解させるべきルールはどうすれば勝ち(負け)になるか。
つまり「詰み」。


相手玉がどこへ移動しようと自分の駒で捕まえられる状態にすれば勝ち。
自玉がどこへ移動しようと相手の駒に捕まってしまう状態になれば負け。

これは頭で理解できているようだが、実際に指させてみると、「わかってない」ことがわかる。

言い換えると、甥は「1手詰めが解けない」ということになる。
これでは平手はおろか、ハンデ戦すらできない。

最低でもここだけは突破して、将棋のおもしろさ、奥深さを知ってもらいたいところだが、すでに本人は諦めムードで、将棋の駒を立てて並べて将棋倒しを始める始末。


これは甥よりもむしろ指導者に問題がある。



ということで、1手詰めの本を探していた。

私が即興でつくれる1手詰め問題は飛車の利きと頭金、桂馬と銀成りなど数パターン。
当然、甥はそれらのパターンは解ける。
ただいろんな駒がいろんな場所に利いている局面になると、ふっつり思考が途切れ、将棋倒しの誘惑にあらがえない。

ここで私が1手詰め問題集を見ながら、盤面上で問題を再現し、次々甥に解かせれば、「詰み」を感覚的に理解できるようになるだろう。


こんな1手詰め問題集は買いたくない


書店の将棋コーナーでいろんな問題集を眺める。

3手詰め5手詰めの本は種類も多いが、1手詰めの本はあまり見当たらない。

探せばあるのだが、ブックデザインが古すぎて読みにくかったり、センスのない表紙で読む気が失せてしまったり、という本がほとんど。

1手詰めは基本中の基本ということで、収録されている問題数も多くない。


「コレ!」という本が見つからず、数少ない候補の中から「比較的マシ」なものを購入しようとも思ったが、もともと買う気の起こらないものを妥協してまで買う気にはなれなかった。

将棋コーナーから立ち去ろうとしてふと視線を下ろすと、鮮やかな黄緑色の本が平積みされていた。



将棋1手詰め入門ドリル280問 表紙
将棋1手詰め入門ドリル280問 表紙



タイトルは「将棋1手詰入門ドリル―「勝つ形」を繰り返し覚えて勝率UP!」。
問題数も280問と他を圧倒。
まさに打ってつけ。

手にとって中身を眺める。

2〜3問解いて、「探していたのはコレだ!」と確信。
即レジカウンターへ向かった。


将棋1手詰め入門ドリル280問の特徴


すでに述べたが、既存の1手詰め問題集には以下のような不満があった。

[将棋1手詰め問題集の不満]
  • 種類が少ない
  • 収録問題数が少ない
  • 表紙やブックデザインが洗練されてない
  • 読みにくい
  • 図がわかりづらい



将棋1手詰入門ドリル』は既存の1手詰め問題集の不満を解消した1冊と言える。

以下にその特徴を記す。


[将棋1手詰入門ドリルの特徴]
  • 収録問題数が280問(最多)
  • 表紙やブックデザインが洗練されている
  • 読みやすい
  • 図がわかりやすい



まず収録問題数が280問
よく1手詰めを280問も作ったな、と感心する。
この数は1手詰め問題集では最多と思われる。


将棋1手詰め入門ドリル280問の表紙


次に表紙。
将棋の本の中には中身はいいのに表紙で損しているものが少なくない。
これはスタイリッシュだ」という将棋本は見たことがない。
だから余計に、『将棋1手詰入門ドリル』のデザイン性が光って見える。

タイトルは大きく、しかも目立つ配色。
「280問」という長所もしっかりアピールされている上、嫌みがない。
背景の黄緑は将棋盤で、マス目の上に駒のキャラクターが配置されている。

将棋1手詰め入門ドリル280問 表紙
将棋1手詰め入門ドリル280問 表紙


これまでの将棋本の表紙に描かれた駒はたいてい実際の駒のように「飛車」や「角」、「歩」などとなっている。
将棋ファンにとっては「普通」でも、そうでない人の中には「とっつきづらい」、「固い」、「古臭い」などのネガティブなイメージを抱く人もいるはずだ。

『将棋1手詰入門ドリル』では、駒に表情を持たせてキャラクター化することで、全体的に「やわらかい」印象を醸し出すことに成功している。

また背景の将棋盤もありがちな木目調ではなく、黄緑色で大胆に塗りたくられ、一見将棋盤であることを意識させない。

既存の将棋本の多くは「将棋」にブックデザインが引きずられてしまう傾向があるのに対し、『将棋1手詰入門ドリル』ではそうした規制にとらわれることなく自由な表現が遺憾なく発揮されいる。


将棋1手詰め入門ドリル280問のブックデザイン



将棋1手詰め入門ドリル見開き
将棋1手詰め入門ドリル 見開き


表紙だけではなく、中のデザインも優れている。

左ページに問題。
右ページに解答。

上下2段に分け、問題とその解答がページの裏表になっているという構成自体は多くの将棋問題集に採用されているものだが、B6判(18cm x 13.2cm)なので問題図が大きく掲載できる利点がある。

簡単な部分図では苦にならなくても、駒の配置が複雑に入り組んだ実戦形となると、盤面は大きい方が見やすい。

上画像を見てわかる通り、問題図は極力大きく描かれ、シンプルかつ見やすいレイアウト。

できなかった問題に印が付けられるチェック欄も設けられていて実用的。


将棋1手詰め入門ドリル280問の構成


ブックデザインについて書いていたら長くなってしまった。

見た目のよさも大事だが、中身も重要。
まず『将棋1手詰入門ドリル』の構成について。


『将棋1手詰入門ドリル』には目次がない。

税込み1,000円以下(定価950円+税)に価格を抑えながら、280問もの分量を盛り込むには目次すら割愛する必要があったものと想像される。

ということで、以下に目次を作成してみる。


[将棋1手詰入門ドリル 目次]
  • はじめに ―― p.2
  • 解説 ―― p.3
  • 問題 Level 1 ―― p.7
  • 問題 Level 2 ―― p.71
  • 問題 Level 3 ―― p.161
  • あとがき ―― p.287



解説ページは全4ページ。

「王手」と「詰み」、「無駄な合い駒」、「打ち歩詰めは禁じ手」、「駒の利きが盤上に無い駒」、「詰め将棋のルールと本書の使い方」について説明されている。


問題はすべて1手詰め。
難易度別にLevel 1〜3に大別されている。

Level 1は64問(1〜64)。
Level 2は90問(65〜154)。
Level 3は126問(155〜280)。


280問中160問が部分図、120問が実戦形。
つまり、Level 1〜Level 3の最初の6問(1〜160)までは部分図での出題。


シンプルな構成の上、左ページの左上を見れば、すぐにレベルがわかるためとりたてて目次の必要性は感じない。
編集サイドの潔い決断だったと思う。


将棋指導者に打ってつけの本


将棋は勝とうと負けようと対局中は頭を使う。
礼儀も重んじる。
強くなるには根気や忍耐も必要。
相手の心や考えを読むことから、人の身になって考えられる思いやりの心や物事をじっくり考える力を育むことが期待できる。
自分で考えて判断することから、人から騙されたり人の考えに安易に同調したり、ということも少なくなるかもしれない。

要するに将棋は教育効果が高い。


将棋盤上からの画像
甥と平手勝負する日は来るのか?



それを「詰み」が理解できないために諦めてしまうのはもったいない。

プロにするつもりはないが、せめて私と平手でいい勝負をするくらいには成長してほしい。


だが、その「詰み」を理解させるための教材が少ない。

『将棋1手詰入門ドリル』の著者椎名龍一さんも「はじめに」で、「初心者向けに書かれた詰みの教本が非常に少ない」と書いている。


数年前に初心者向け将棋講座の講師を務めたことがありました。
 できるなら受講されている皆さんに少しでも上達していただきたいと思い、いろいろな入門書を参考にして講座を進めましたが、そこで感じたのは初心者向けに書かれた詰みの教本が非常に少ないということでした。
 将棋を覚えたばかりの方にとって、3手詰や5手詰はあまりにも高いハードルです。1手詰をたくさん解いて詰み形を自然に覚えることができるような、ごくごく当たり前の1手詰がたくさん載っている問題集があればいいのにと考え本書を作りました。
(『将棋1手詰入門ドリル』はじめに より)



私は「1手詰をたくさん解いて詰み形を自然に覚えることができるような、ごくごく当たり前の1手詰がたくさん載っている問題集があればいいのに」と思っていたところに、まさにその通りの本が書店に置いてあったので、即座に買い求めた。

さすがに280問やれば楽な方に流されやすい甥も「詰み」を修得できるだろう。


将棋1手詰め入門ドリル280問の内容


将棋1手詰入門ドリル』は将棋(特に「詰み」)を子供に教えようとしているお父さん(お母さん)やお爺ちゃん(お婆ちゃん)にとって大いに役立ってくれる、という点についてはすでに述べた。

ここからは、「自分が将棋に強くなるために役立つか」という観点から同書を眺めてみる。


すでに基本的なルールは覚え、実戦経験もある人にとって、1手詰め問題集は「今さら」感がある。

3手詰め5手詰めであれば頭の体操になるし棋力アップにもつながるだろうが、たった1手で詰んでしまう問題を解いて意味があるのか?

と、『将棋1手詰入門ドリル』を読む前までは思っていた。


これは、「1手詰めの問題であれば、一目見ただけで280問全てを正解する自信がある」という意味を含んでいる。


実際やってみた。






結果、全問正解はできなかった


また、正解するにはしたが、なぜその手になるのかの理由まで含めると1分以上かかった問題もあった。

論より証拠、実際に1問見てもらおう。





将棋がわかる人であれば、一目の問題。
5二角成り、とした人は間違い。

理由はこちら



細切れの時間を有効活用


用心して引っかからなかった人も、初見で280問、全問正解できる人は多くないと思う。

サブタイトルにも「「勝つ形」を繰り返し覚えて勝率UP!」とある。

ここに掲載されている280通りの「詰み形」を一目で見抜けるくらいたたき込んだら、終盤のミスは少なくなるだろうし、より速く寄せる力もつくと思われる。

私自身は未熟なのでこのへんの感覚はわからないが、将棋の強い人は理想的な最終形(詰み形)をイメージして、そこから逆算して手を作っていくらしい。
だとすれば、より多くの「詰み形」が頭にたたき込まれていればいるほど、局面を有利に持っていけることを示唆している。
相手の裏をかいたり、相手にこちらの意図を悟らせなかったりという効果も期待できそうだ。


将棋駒拡大画像



とはいえ、どうしても「今さら」感が先に立って1手詰め問題集を購入する気になれない、という人もいると思う。


私も甥がいなければ『将棋1手詰入門ドリル』を即買いしたかどうか。


ただ実際1手詰め問題集を手にしてみて、問題を一通り解いて思うのだが、これは「買って正解」だった。


基本的にほとんどの問題は1分以内、おおよそ10秒前後で解ける問題で占められている。
購入前はこの点が購入をためらう理由になっていたが、購入後はこの点がこの本の魅力に思えた。


1分以内の細切れの時間に、1手詰め問題集は実に都合がいい。

私の場合、パソコンを起動するときやブログを再構築するときに『将棋1手詰入門ドリル』の適当なページを開いて問題を解く。

パソコンが起ち上がったりブログの再構築が終わったら、本を閉じて作業開始。
解くまでの時間が短いので、不定期な細切れの時間を有効利用できる。


[将棋 1手詰め問題集]



いろいろ書いたが、自分や他人の棋力を養成できて、なおかつ細切れの時間も棋力アップに当てられる『将棋1手詰入門ドリル』はオススメの1冊。


[結論]

将棋1手詰入門ドリル』はオススメ。





[解答]
将棋1手詰め入門ドリル解答

        
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痛みが鎮まることを乞うのではなく、痛みに打ち克つ心を乞えますように。

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不安と恐れの下で救済を切望するのではなく、自由を勝ち取るために耐える心を願えますように。

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(ラビンドラナート・タゴール「果物採集」より 石川拓治訳)

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